春一番、AW

ストックホルムの路傍にも花が咲き始めました。待ち望んだ春です!

4月5日にOdenplanのBuco Neroで5時からAWを開催しました。結局8人集まりまして、笑いの堪えない楽しいひとときを過ごしました。

日本人だから、しかも医療従事者同士だから出来る本音トークはやはり格別です。不定期ですが、こうやってちょこちょこと皆さんにお会いできる機会を増やしていけるといいなーと思います。次の企画、誰か宜しくお願いします。

今日の格言: 体のたるみは心のたるみ。(Y子さん、勝手にお借りしました。)

#幹事


歯科治療手当について


治療費について、何件か質問があったので、情報をシェアさせていただきます。

Personnummerをお持ちの方で、Försäkringkassanにまだ登録をされていない方は、歯科治療を受ける前に登録をしてください。登録が完了するまでに私の時は1~2か月だったように思いますが、今は半年以上など結構時間がかかる場合もあるようです。(ホームページから登録に必要な用紙もダウンロードできますし、必要な書類などの情報ものっています。)

スウェーデンでpersonnummerがあれば、23歳以下は治療費はかかりません。24歳から29歳までは年に600クローネの歯科治療手当がもらえます。これは二年、有効期間があります。30歳以上64歳以下は年間300クローネになります。有効期間は同様。65歳以上は再び600クローネになります。

歯科治療費はまず政府の決めた価格referenceprisというのがあり、それを参考にFolktandvårdであれば各自治体が、プライベートのクリニックであればその医院自体が費用を決定します。私が見てきた中では、Folktandvårdはreferencepris 据え置きか、それよりちょっと高いくらい。プライベートでは、refarenceprisの1.3~1.5倍くらいの価格設定かなと思われます。

例えば歯科検診で来院した場合、私の勤務する医院だと、

レントゲン4枚含む虫歯の検査、歯周病検査あわせて852クローナ

歯石取り、歯面研磨(表面をつるつるにして歯石が付きにくいようにします)、フッ素塗布で、歯周病の程度により費用は364クローナか572クローナになります。

虫歯など特に治療が必要なければ一年に一回このような検査と歯石除去、クリーニングをするのが一般的です。

もし、Försäkringkassanからの歯科治療手当(Tandvårdbidrag)を二年間使用していなかった場合、

24~29歳であれば600×2で、1200クローナ分の手当てが利用できるので、

852(検診)+364(クリーニング)-1200(手当分)=16SEK

30歳以上で高い方のクリーニングの処置となったとしても

300×2で600クローナの手当てがあるので

852(検診)+572(クリーニング)-600(手当分)=824SEKとなります。

日本で同じことをした場合、大体同額になりますが、国民健康保険があれば三割負担なので、3000円くらいになります。

治療が必要となると、日本は政府の決めた価格自体が安いということと、三割負担ということでスウェーデンに比べるとかなり安くなります。

スウェーデンでは治療費が3000クローナ以上になる場合、Försäkringkassanに登録されていれば、3000を超えた分の半額をFörsäkringkassanが負担してくれます。プラスチックの詰め物程度の治療であれば3000を超えることはありませんが、根の治療、かぶせなどが必要になると、3000以上はほぼ必ずかかります。

ただスウェーデンの治療でいいのは、インプラントも場合によっては補償の対象に含まれるということです。日本ではインプラントはすべて自費治療となります。

いずれにせよ、スウェーデンの歯科は高いというイメージが先行しているようにおもいますが、検診をしっかりとして、痛くなる前に先手、先手を打っておけば、大きな治療が必要になることもなく、費用におびえる必要もなくなります。歯科治療手当を二年使わないと、そのまま失効しますので、無駄にせず、ぜひ活用してください。手当は、コンピューターでデーター管理されているので、患者さんがどれだけ手当を使えるかというのは歯科医院で把握できます。歯科医師か衛生士がたいていの場合、『手当がこれだけ残っているけど、今回使いますか?』と聞いてくれると思いますが、何も言われなかった場合、予約をするときにでも、『どれだけTandvårdbidragが残っていますか?』と聞くか、治療をする前に「Tandvårdbidragを使いたいんですけど」といわれるといいかと思います。

うんざりするほど聞いたことがあるかと思いますが、歯医者はいたくなる前に行きましょう(笑)。


本の紹介:スウェーデンの作業療法士-大変なんです、でも最高に面白いんです  河本佳子著

スウェーデンの作業療法士である著者が約20年前に出版した本ですが、現在形でも十分に通じるスウェーデンの医療福祉の現場が実例を交えてとてもわかり易くしかも本音で描かれています。

かつて福祉先進国と呼ばれたスウェーデンも世界にもれず(?)不況の波を受けて、あちこちの地域や病院で財政立て直しのための頻繁な組織改革が繰り返されています。それに対する著者とその同僚たちの不満&ウンザリ感や右往左往している様子には私にも近年覚えがあったのでニヤリとしてしまいました。また日本からの視察団がよく聞く質問に著者が感じる逆カルチャーショックやその背景、両国の医療福祉現場の長所および短所(というか問題意識)、そして本書のいたるところで出てくるスウェーデンというお国柄について等々、普段私が職場で漠然と感じていることが上手く文章化されていたので、読んでいてスッキリというかもう感動の領域でした。 著者は小児専門の作業療法士ですが、書かれている内容はリハビリテーション且つハビリテーションそして医療福祉全体に通じる内容でもあり、急性期病棟で働く理学療法士としてもインスピレーションもらいました。 この国の医療福祉の仕組みや、作業療法士&理学療法士の働き方について興味がある人には本書をお勧めします。むしろ、病院&施設見学したいと言ってスウェーデンに来る人にはまず本書を読んでもらってから来てほしいというのが私の本音です。20年前に書かれた本だから時代遅れだと侮らずに、しっかり目を通して頂きたい一冊です。

# NONA


Standardiserade vårdförlopp

皆さんはStandardiserade vårdförlopp(SVF、癌疾患の医療プロセス)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

しばらく前(確か7-8年ほど前)スウェーデン国内のどこに住むかで、がんの診断・治療を待つ時間にバラツキがあり、とても不公平だとメディアなどで大きく取り上げられました。2014年にスウェーデン政府はそのバラツキを出来るだけ軽減するという目的で、Standardiserade vårdförlopp(SVF)というプロジェクトを開始しました。

SVFとはがんが疑われた場合、どんな検査をどれだけの期間に行い、手術や放射線などの治療をいつまでに行われるようにするのか?というプロセスを示したものです。疾患によって、検査や目標とする期間には違いがあります。

SVFという言葉が書いてある紹介状の場合、一定の期間内に検査・治療を予約するようにしています。(残念ながら必ずとは言えませんが、その期間を過ぎると施設にペナルティーがかかるような仕組みになっているはず)

検査・治療の待ち時間が一番つらいと多くの患者さんがおっしゃいます。

それを出来るだけ迅速に、しかも的確な検査でプロセスを進めるというのがSVFの一番の目的だと思います。そして、そのプロセスが国内どこに住んでいても同じように進められるというのも重要なポイントです。スウェーデンではOrättvis(不公平)ということをかなり嫌う国ですから。

こちらのページでは疾患別のSVFのプロセスが確認できます。

https://www.cancercentrum.se/samverkan/vara-uppdrag/kunskapsstyrning/vardforlopp/

SVFは2015年より始まりましたが、残念ながらいまだに地域差があるという報告もあります。

https://www.cancerfonden.se/nyheter/vantetider-i-cancervarden-ar-ett-geografiskt-lotteri

非常に個人的なことですが、去年の夏に血の塊が出るような血尿があり、SVFのお世話になりました。VCに受診後10日間以内にCTと膀胱鏡の検査。VCの医師には「癌ではないとは思うけれど、最近はこういうプロセスをふむのよ。でも、癌は殆ど疑ってないんだけどね、万が一のことを考えて」と何度も念を押されました。「万が一のことを考えての検査だから」と軽く考えていた私ですが、自分のカルテに「SVF」の文字を見た時は、癌という疾患をとても身近になり少しだけ怖くなりました。(日頃、がん医療で働いているのにもかかわらず!)
ただ、私のような余り癌の可能性のない症例が、本当にがんの疑いの高い人の検査を押しのけているのでは?という気もちょっとしてしまったのでした…。でもきっと日本ならばその日のうちに検査とか入るのかもしれないですね。すっかりスウェーデンのペースに慣れてしまっている私でした。それがいいのか?悪いのか?

# Lisa Indra


患者さんの払う医療費 (Patientavgifter)

こちらが2019年のストックホルムの患者さんが負担する医療費の情報です。

https://www.karolinska.se/globalassets/global/administration/ekonomiavdelningen/patientavgifter-a3.pdf2019.pdf

毎年少しずつ変更があり、Landsting(県)によって違いますので、お住まいのLandstingの情報を確認してください。

こちらの情報では、12か月の間に外来受診で1150kr(約1,3万円)払えば、それ以上の医療費は無料です。この中に歯科受診は含まれません。入院費はこの1150krの中に含まれませんが、1日につき100krです。これは手術をしても、ICUに入院であっても、1日100krです。

先日、友人から「日本で承認されたCar‐T細胞療法って4000万円とかって聞いたんだけれど、スウェーデンだとどうなの?」と聞かれました。
この治療法は一部の白血病などの治療法として、今年2月に日本でも承認されたばかりの治療法です。がん患者の体内からT細胞と呼ばれる免疫細胞を取り出し、攻撃する力を高める遺伝子を組み込んで体内に戻すことでがん細胞を攻撃する治療方法です。

標準治療ではありませんが、スウェーデンでも行われている治療のようです。
こちらは外来受診ではなく、入院での治療になるので、患者さんが支払う金額は1日100krです。他の免疫療法以上に更に高額な治療であり、治療費のほとんどの部分は公費での負担になるので、どの患者さんにこの治療が適応されるかは主治医だけではなく病院全体の承認が必要などのプロセスがあるのでないかと個人的には想像します。

# Lisa Indra


子供の近視


近視の決定的なメカニズムはわかっていませんが、遺伝や生活環境など複数の要因が関係することは、研究によって明らかになっています。近視になる年齢が早いほど、将来高度の近視になる確率が高くなります。近視が進むと、眼鏡やコンタクトレンズでの矯正が必要になるばかりでなく、将来、白内障・緑内障などを発症するリスクも高くなります。子供の近視を治療することはできませんが、進行スピードを遅くし、近視の度数をできるだけ低く抑えるための方法が研究され、その幾つかは既に利用されています。(multifokal kontaktlinserやnattlinserなど)

近視と近視抑制についての情報が、子供の目の健康に関わる現場でどのように扱われているかをアンケート調査し、卒業論文としてまとめました。回答者133人で大きな研究ではありませんが、optiker、ortoptister、BVC-sköterskor、skolsköterskorの四つの職種から、貴重な意見を集めることができました。

スウェーデンには、先天性の目の病気や斜視弱視の子供を早期に発見し、適切な治療を施すための優れたスクリーニングシステムがあります。一方で、増加傾向にある子供の近視への対応は、確立していません。この分野の教育を受け、知識を持っているのは、眼科医の他にはoptikerです。一般的に、「眼鏡屋さん」と認識されているoptikerですが、目の健康についての相談を受ける役割も担っています。気になることがある方は、ご連絡ください。

子供が近視になる確率は、片親が近視の場合3〜4倍、両親が近視の場合6〜7倍と高くなります。10歳未満で、近視による裸眼視力が0,6以下の場合は、高度近視になるリスクが高いと言えます。まず、誰でもできる子供の近視対策は、近くを見る作業時間を制限することと、屋外にいる時間を確保することです。(日に3時間以上の近距離作業で、高度近視になるリスクが2,6倍)既に近視になっている場合には、眼鏡やコンタクトレンズの矯正で、はっきりとした画像を見るようにすることも大切です。

# めがねうさぎ


Vårdgaranti


2019年より、Vårdgarantiの期間が変更になりました。

どの患者さんも3日以内に医療従事者による診察が確約されているとの事です。但し、これは医師だけに限らず、国家資格を持っている医療従事者なので、看護師や理学療法師の診察も含まれます。

急病の際の救急外来はこれには含まれません。

ストックホルム県の場合 0-3-30-90システム

連絡当日(0日):近医(Vårdcentralen)に連絡すれば、その日のうちに連絡が帰ってくる。(注意:その日のうちに診察となる訳ではありません!)

3日以内に医師、看護師または理学療法士による診察

診断書が受理され、専門医の診察が必要と判断されてから、30日以内に専門医の診察を受けられる。

医師、又は医療従事者が治療が必要だと判断した場合、出来るだけ早く治療開始となるが、最長でも90日以内に治療開始となる。

Vårdgarantiに関しての質問は、まずは近医(VC)へ。

専門医の受診が30日以内に叶わない場合、又は90日以内に治療開始とならない場合は、その専門外来へ連絡するか、またはVårdgarantikanslietに連絡してみてください。他の専門医で順番待ちが短いところを見つけてくれるそうです。

電話番号: Vårdgarantikansliet  08-123 134 00.

https://www.1177.se/Stockholm/Regler-och-rattigheter/Vardgarantin-i-stockholm/

VCに毎日数えきれないくらいの電話がかかってくるのを知っているので、個人的にはかかってきた電話に対応することが本当に出来るのだろうか?という気もしますし、3日以内に受診…と言うのも、今のスタッフの数で可能なんだろうか?という気もします。

ただ、これは質を下げれば可能なのかも?と。

VCで働いている友人もいるので、あとでこっそりと現状を聞いてみるつもりです。

また、Vårdgarantiは住んでいる県によって違うので、Vårdguiden1177で自分の地区のVårdgarantiを調べてみてください。

# Lisa Indra


Egenanmälan/Egenremiss



スウェーデンではほとんどの場合Vårdcentralenにいる医師を通して専門医に紹介状(Remiss)が送られますが、皆さんは自分でこの紹介状が書けることをご存知でしょうか?

これはegenanmälan、egenremiss またなは egen vårdbegäranなどと呼ばれています。

場所によっては記入フォームがあったりもしますし、Lanstingen(県)によってはネットで自分のカルテにログインし、そこから紹介状を送ることも可能なようです。

医療施設によってはほかの医療機関からの紹介状が必要な場合があるので、受診したい専門医の受付にegenanmälanを受け付けているかを書く前に確認してみてください。

egenanmälanに含まれるべき内容

・パーソナルナンバー、名前、住所、電話番号

・症状や疾患の情報

・なぜ専門医に受診したいかという理由

https://www.1177.se/Stockholm/Regler-och-rattigheter/Remiss/

Lycka till!

# Lisa Indra


2019年 新年会

            

先日、ストックホルムのAsashi Fondue&Grillにて新年会を開催しました。

お肉・シーフドをたらふく食べ、日本語で愚痴を言いあい、情報交換。

楽しい会になりました。

(あまりに食べ過ぎて、私の夕飯はシリアルでした…)

不定期になりますが、このような会を今後も開催したいと思っています。

スウェーデンの医療従事者の皆様(または未来の医療従事者の方)、会への参加を心よりお待ちしております。

幹事

# Lisa Indra


Vita Arkivet (白の記録:死後に関する故人の希望)

 日本人の看護師さんに

スウェーデンの病棟には”the white file”と呼ばれる物を看護師が保管していると聞きました。患者さんに、今後の希望などを書いてもらう用紙だと聞きましたが、そのファイルもとても興味があります。

というメールを頂きました。

 

私自身はここ数年外来勤務で、The white fileの存在は知りませんでした。がんの入院病棟やASIH(在宅高度医療)で働いている友人たちに聞いてみたところ、「それってVita Arkivetのことかな?」と。

 

このVita Arkivetはこんな感じで始まっています。

Det kan kännas konstigt att tänka på sin egen död och begravning. Men att ägna en stund åt just det är en bra idé. Dels av omtanke så att dina anhöriga en dag slipper gissa vad du skulle ha önskat. Dels kanske det finns saker som faktiskt är viktiga för dig. Det kan du få sagt i Vita arkivet. Resten kan du lämna åt dina närmaste att bestämma om. (自分の死や葬儀を考えるのは不思議な感じがするかもしれません。でも、ちょっとの時間そんなことを考えるのも悪くないと思いませんか?残される家族のため。そしてあなた自身のためにも)

このVita Arkivetには、患者さんが自分の葬儀やお墓に関しての希望、経済的・法的な事で身内に伝えておきたい事などが書けるようになっています。ダウンロードしてプリントアウトすることも可能ですし、Web上に書き込みそのまま保存することも可能なようです。

 

宗教によって葬儀の時期は様々ですが、キリスト教のスウェーデン人の場合、死後4週間後に葬儀という事も珍しくありません。その間、家族は故人らしい葬儀を計画していきます。その時にVita Arkivetがあれば、故人の希望に沿った教会や棺、葬儀で流す音楽を計画していく事が可能です。

0年近く在宅緩和医療で働いている友人から「これは医療の一環ではないので、私から患者さん達にこのVita Arkivetの記入を勧めたことはないな。ただ、医療職としてこのVita Arkivetの存在を知っていることはすごく重要だと思う。自分では勧めたことはないけれど、受け持っていた患者さんがVita Arkivetを書いていたのは知っているよ」という返事をもらいました。

 

看護師である彼らは勧めていないかもしれませんが、スウェーデンではKurator(日本のソーシャルワーカーに近い職種?)というスタッフが死後の様々な事務的なことに関して相談に乗ったりもするので、そのKuratorからVita Arkivetの情報が入った可能性もあるかもしれません。

 

http://fonusost.se/wp-content/uploads/2015/10/va_blankett_2013_31maj.pdf