スウェーデンの医師免許取得に関する医師組合からのコメント

より早く、患者にとって安全なスウェーデンの医師免許への道(Snabbare och patientsäker väg till svenskt leg)というタイトルで、Läkartidningenに医師組合の代表から寄稿がありました。日本ではこのようなことを考えることはなく、スウェーデンならではの寄稿です。少子化が進み、労働力が低下してゆく日本にとっても参考になるかもしれません。オリジナルはこちらから。

 

 

スウエーデンの南から北、都市や地方の医療を充足させるためには、いろいろなことが起こる必要がある。近年、スウェーデンの国外で教育を受けた医師の供給は、必要不可欠であり、有用である。2015年に医師免許を得た2579人の医師のうち、59%に当たる1509人がスウェーデン国外で教育を受けた医師であった。その内訳は、スウェーデン以外のEU各国で教育を受けたスウェーデンの学生、難民としてやってきた医師、ポスドクや教授として研究をするためにやってきた医師などである、また、EU内や、EU外からlandsting などにヘッドハンテイングされた医師も沢山存在する。

 

スウェーデンにやってくる医師の医師免許を取得する際の能力は、患者に安全であり、法律上安全でなければならならず、医師免許への道は敏速であるべきだが、これまで遅速で理解するのが難しかった。これら医師が医師免許を得るまでに、2011年では専門医を持つ医師は2.7年、非専門医では6年を要した。そこで、SocialstyrelsenはEU外の医師免許を持つ医師が、新しい知識試験と実地研修を受けることによりスウェーデンの医師免許を取得できるようにした。

 

知識試験はウメオ大学が担当することになっており、今後さらに発展する。理論の部分はこれまでに二回、実地の部分は一回施行され、何名かの医師がその新しい試験に合格し、実地研修に進むことになっている。

 

能力検定のレベルをちょうど良い高さにすることは容易なことではない。医師組合はEU外の資格を持つ医療従事者で構成される「未来の医療従事者組合」とともに、いくつもの提案がある。スウェーデン語で記載されている質問や条件を理解するためには、試用期間を延長する必要がある。最初の2回の試験に不合格となった医師は、これらの回数を最大3回まで許されている知識試験と2回までの実地試験の回数に含めなくて良い。医師組合もウメオ大学での知識試験の改善に取り組むチームに参加している。

 

試験を受ける医師それぞれの助けとなるために、医師組合と SKL(Sveriges Kommuner och landsting)はArbetsförmedlingenを通してweb上で受けられる知識試験の準備クラスのための準備をしている。知識試験の前にテストの形式や問題の形式について良く知っている必要がある。

 

実地研修については未だ不明な部分が多い。医師組合は、研修が全国的に行われ、それぞれの医師が研修場所を探す必要がないようにするために活動をしている。医師組合は実地研修について、ATやSTと同じように、規則が定められるべきだと考えている。

 

医師組合の取り組みは公式な医師免許取得への道だけではない。新たにスウェーデンにやってきた時、医療現場でのネットワークを得ることや実地のスウェーデン語を学ぶことは大切である。どこで教育を受けたにかかわらず、我々は新しい同僚に対する責任を負うことが大切である。医師組合は社会経験として、スウェーデンでの就職の助けやイントロダクションとしてのスポンサープログラムを開始した。最初のグループはすでにストックホルムでの会合を開始した。SYLF(Sveriges yngre läkares förening)はスプロークカフェを始めたし、Upplandのallmanna läkarföreningは知識試験の前の勉強会を、他のföreningはEU外で教育を受けた医師の会合を企画している。これら地方の取り組みは大切であり、新しい同僚のために活動することは他人を助けることであり、自分自身の視野を広げることでもある。

 

Emma Spak

医師組合代表

#Dragonmamma

 

One comment on “スウェーデンの医師免許取得に関する医師組合からのコメント

  1. Lisa Indra Reply

    >医療現場でのネットワークを得ることや実地のスウェーデン語を学ぶことは大切である。
    これにはすごく共感です。
    スウェーデンの場合、ツテは大事だし、臨床で使われるスウェーデン語を浴びるように聞くのはすごく役に立つと思うので。Uskで働き始めたころ、つたない日本語訛りのスウェーデン語を我慢して聞いてくれていた当時の同僚には、「感謝」という言葉の一言です。当時、「あまりにもスウェーデン語が出来ないから、きっとみんなに迷惑をかけて、だれも私と働きたくないと思う!」と、上司に泣きついたくらいなので。きっとすごく迷惑だったとは思うんですが、何せ夏のスウェーデンの病院。言葉が出来なくても、おむつ交換ができて、食事介助も採血もできる人間を解雇する余裕はなかったのかな?と。

    日本から引っ越してきて思うのは、母国でも同じような疾患が一般的だからラッキーだったなーとです。以前外人医療者の語学コースで出会った医師は「自分の国だと、熱帯感染症とか爆発とかによる火傷とかが多かったんだよねー」と。そりゃ、疾患を一から勉強しなおし?って思っちゃいました。(彼は専門医じゃなかったので、能力検定試験から受ける必要があったんで)

    語学テストで一緒だったイランからのナースはKIの「EU外からの移民看護師」のコースの講師としても働いています。彼女から「大昔の能力検定試験の資料、持ってる?KIのコースを受けずに、あの試験を受ける人たちのサポートもしているので、そういう資料がほしいんだけど」と、数か月前に連絡が来ました。掃除が得意じゃなく、断捨離が出来ない我が家からは15年前の資料が出てきました。
    同じ移民ナースとして、ちょっとでもお手伝いがで出来ればいいなーと思ったのでした。

    FB上にはKunskapsprov till läkare (utanför EU) i Sverigeっていうグループもありますね。

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