医学部の学生さんからメールをいただきました。
会員のAUさんをご指名ですが、他の方も是非、コメント欄で情報をお寄せいただければと思います。
スウェーデン日本人医療従事者の会様
はじめまして。
日本の医学部に通っており現在2回生です。
将来は海外で働きたいと考えており、
以下長文失礼します。
海外で働くとして今出来ることを見つけようとまずはアメリカを調
最短で確実な進路としては横須賀・
方向転換して調べていくうちにスウェーデンが福祉も育児支援も整
それでAU様にいくつか質問させていただきたいのですが、
①上記の横須賀・
②基本的なスウェーデン語は少しはやったほうがいいのか
③USMLEのような英語での医学の勉強はしたか
④日本での学歴・成績は影響するのか
⑤スウェーデンの国試の難易度はどれくらいか
⑥
⑦卒後すぐにスウェーデンに移住して生活など支障はなかったか
⑧日本での医局などの繋がりを作らないという不安はなかったか
⑨スウェーデンでの繋がりはどのように作ったのか
⑩
⑪滞在・就労ビザの取得はしやすいのか
⑫日本人女性医師は現場で対等に働けるのか
分からないことばかりでたくさん質問してしまってすみません。
お返事いただければ幸いです。
お忙しいと思うので気長にお待ちしております。
また他の方でもし何かアドバイス等ありましたら助言いただけると
Lisa Indra July 11, 2017
初めまして。
私は医師ではないので、詳しいことはAUさんからのお返事を待つとして…。
⑤多分、医師も看護師同様に国家試験というのはないんじゃないかと思いますよ。「学校を卒業する=免許の申請ができる」というスタイルだと思います。
⑥こちらのページで、2.Various ways to obtain a licence のところのOption 2: Additional trainingが、おっしゃっているKULのことかな?と思います。詳しくはこちらのページに免許取得までの道が書いてあるので、じっくり読んでみてください。
https://legitimation.socialstyrelsen.se/en/educated-outside-eu-and-eea/doctor-of-medicine
Staff dragonmamma July 16, 2017
はじめまして。
スウェーデンの医師の労働環境は日本とは比較にならないくらい恵まれており、女性にとってもワークライフバランスの点からも恵まれていると言えます。
私たちがアドバイスをする上で、最もしにくいのが、11番の点です。
スウェーデンに住む医療従事者のほとんどが、スウェーデン人パートナーを持っています。つまり、ビザを取得する際には、「サンボビザ」といって、スウェーデン国籍を持つ(あるいは、スウェーデンでの永久ビザを持つ)人間のパートナーとしてのビザ申請が可能であり、一定期間の後には、永久ビザを得ることができます。
私の場合は、サンボビザではなく、ポスドクでビザを得て、一定期間が経過したところで、パーマネントの雇用があるということで、永久ビザに書き換えることができました。しかし、ビザを得るためには雇用がなければならず、雇用を得るためにはビザがなければならないという、解決法のないサイクルに入ることもあり、容易なことではありません。
ビザに関する問題をクリアーしなければ、次のステップを始めることができません。いずれのルートにしても、スウェーデン語の取得が必須ですので、まずは語学です。私は、SFI (移民のための語学コース)と SAS grund(成人学校での最も初歩のスウェーデン語)は独学にてスキップして、残りを4ヶ月ほどで終わらせましたが、通常は1年以上かかるはずです。これらの無料の語学学校を受講するためには、パーソナルナンバーが必要であり、パーソナルナンバーを得るためには、ビザが必要です。
医学の国家試験を受けずに、カロリンスカ、リーンシェッピング、ヨテボリの各大学にある1年間の補修コースを受けるルートもありますが、こちらもパーソナルナンバーが必要ですし、定員が少ないためコース受講資格を得るのも易しい訳ではなさそうです。
全てクリアーしたとして、AT(研修医)をすることになりますが、ストックホルムのような大都市では、研修医のポジションを得るのはかなり大変です。通常は2年間くらい研修医前の身分で、いろいろな職場で医師として下働きをしながら、研修医のポジションを探す事になります。
もし、私が卒後すぐにスウェーデンへの移住を考えるなら、いずれかの大学院へ入るか、スウェーデン語を学んだ後、准看護士として働き始めるとおもいます。多くの医学生が准看護士として夏季のアルバイトをしている他、他国からの医師もつなぎとして准看護士で働いているのを見かけます。現場で語学をブラッシュアップできるだけでなく、システムも学べますし、コネも作ることができます。
ご質問とは関係ない部分が多くなりましたが、実際に移住するとすれば、より重要に成ると思われる点の一部につきコメントしてみました。
VL July 22, 2017
初めまして。VLです。私も以下の質問に対する意見を考えてみました。
まず、dragonmamma氏が指摘されているように、ビザと雇用の問題が最初に解決しなければいけない、そして最も難しい問題です。私の場合も、ポスドクで1年のビザを得てこちらにきて、毎年それを延長、4年目からは病棟での勤務でしたが丸1年働いた時点で、こちらの永久ビザを手にしました。こちらに来たのは大学卒後11年目で、学位も日も専門医資格も持っておりました。新卒でスウェーデンにこられた方は、他のEUの国の医学部を卒業された方がこちらで職を得た、という話は聞いておりますが、日本からの場合は知っている範囲で全て、パートナーがスウェーデン人の女性で、それでまずパートナービザが下りています。
以下の回答はビザの問題が解決したものとして話を進めます。
① 上記の横須賀・沖縄の際ように在学中にこれをしておくのが有利、しておくべき事は何か?
基礎、臨床医学の学力を高める、英文の医学書や論文を読む習慣をつけることをお勧めします。
②基本的なスウェーデン語は少しはやったほうがいいのか
スウェーデンの病棟での勤務に関しては、スウェーデン語のこちらのナショナルテスト合格等が要求されます。日本で基本的な勉強を私もしましたが、またこちらの語学学校で一からやり直しました。こちらの施設の担当者に面接を受ける段階での会話はスウェーデン語になると思われます。
なので、日本では少しはやってもいいとは思いますが、スウェーデンでは徹底的にやる必要はあります。
③USMLEのような英語での医学の勉強はしたか
私は米国にも臨床留学しておりますので、USMLE Step1,2,3の勉強をして合格しております。
④日本での学歴・成績は影響するのか
日本の大学名は影響しないと思われます。ただ、成績は書類審査時に影響する可能性はあります。
⑤スウェーデンの国試の難易度はどれくらいか
EU以外の専門医を取っていない医師が受けるテストのことを指しておられると思いますが、受けた先生に聞いたところ、スウェーデンの医学部の卒業試験レベル、とのことです。
⑥ネットでKULを調べても情報が見つからないがどういったものなのか
Lisa Indra 氏がおっしゃる通り、氏が紹介したリンク先、https://legitimation.socialstyrelsen.se/en/educated-outside-eu-and-eea/doctor-of-medicine/various-ways-to-obtain-a-licence
のOPTION2, Additional training to become a doctor of medicine がスウェーデン語のKULです。
⑦卒後すぐにスウェーデンに移住して生活など支障はなかったか
私は卒後11年目でしたが、もちろん大変でしたよ。ポスドクの給与は少なくて。あと、寒く暗い冬を耐えられないと厳しいでしょう。
⑧日本での医局などの繋がりを作らないという不安はなかったか
私は卒後11年目でしたので、つながりはありました。帰国する可能性が高ければ、医局とのつながりはあったほうがいいでしょうけど、最近だと帰国時に連絡するという方法もいいかなと思います。
⑨スウェーデンでの繋がりはどのように作ったのか
日本での国際学会です。
⑩日本に戻ってきたときに働けるよう初期研修を済ませて行くべきか、またはもっと日本で経験を積んだ方がよいのか
海外留学は、私は少なくとも初期研修は済ましておいたほうがいいと考えております。
⑪滞在・就労ビザの取得はしやすいのか
雇用が確保されていれば取得はできます。そして、その雇用先を見つけることは、容易なことではありません。
⑫日本人女性医師は現場で対等に働けるのか
実力次第ですね。
現実問題、ビザと雇用の問題は難しいです。パートナーなしで、まず雇用確保が必要な日本人であれば、学位があればポスドクで雇用を得る、という方法が一番難易度が低いと私は思います。
AU August 7, 2017
お返事が遅くなりすみません。お返事できる項目を書きますね。
2. 基本的なスウェーデン語は少しはやったほうがいいのかー日本でということでよろしいですか?
私はほぼゼロの状態でスウェーデンに移住し、そこから本格的に勉強し始めました。日本で勉強するに越したことはないだろうと思いますが、個人的に語学は現地でその言語の中で生活するのが一番勉強できると思います。
3. 私はUSMLEなどの英語での勉強はしていません。
4. KULは Kompletterande utbildning för läkare med examen från tredje landの略で、EU以外からの医師がスウェーデンで働く(研修医/専門医)ための約一年間のコースで、講義や実習、試験があります。
7. 私はパートナーがちょうど働き始めたので、最初の1-2年は生活はパートナーの収入と日本からの貯金です。サンボビザをとって、パーソナルナンバーがあったので大学での語学のコースは無料でした。
8. 医局との繋がりについては、今のところスウェーデンで研修して、専門医をとって・・・というのがプランなので、日本の医局との繋がりはありません。
9. スウェーデンには留学生としてしか来たことがなく、最初の仕事を探すのは大変でした!人手不足のタイミングなどで運良くお仕事をもらってからは、研修医をもらうまで研修医前のドクターとして同じ職場で勉強させてもらいました。
10. 日本で研修を済ませ、経験を積んでおけばよかった・・・と思うことはもちろんありますが、日本で初期研修をしてもこちらでまた研修(AT)をしなければならなかったので、迷いましたが卒後すぐに移ることを決めました(色々タイミングなどもあって)。どちらにしても、どちらが簡単ということはないと思います。
12. 移民・女性・経験不足・若い ということで、対応や言葉がきつい患者さんもいました。いくら平等なスウェーデンでも移民だということを感じないわけではないです。
留学で来た時と、実際に住んで、働いて見るのとでは違います。それでも労働環境、将来家族が増えるときのことを考えると、このままスウェーデンで働きたいと思いますし、スウェーデンの魅力は職場以外にもあります。
Lisaさん、dragonmammaさん、VLさん、コメントありがとうございました。