口ひげキャンペーンはスウェーデンの前立腺がん協会が「前立腺がん」という疾患をより多くの人に知ってもらい、研究のために多くの資金を集めることを目的としたキャンペーン運動です。
日本では2017年は大腸がんが一番一般的ながんになるであろうと予想されていますが、皆さんはスウェーデンでどのがんが一番一般的かご存知でしょうか?
http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html
スウェーデンで一番一般的なのは前立腺がんなんです。
https://www.cancerfonden.se/om-cancer/aktuell-statistik-om-cancer
スウェーデンでは毎日27人の男性が前立腺がんの診断を受け、10万人の男性が前立腺がんという疾患とともに生活しているそうです。
毎年10月に行われるピンクリボン運動は世界的なキャンペーンで、乳がんに多くの注目が集まりますが、スウェーデンで一番一般的な前立腺がんが語られることはあまりありませんでした。Wkipediaによれば、スウェーデン国民の70%が「乳がんが一番一般的な癌である」と思っているようです。
そして、女性に比べて、男性は体や病気のことに関して話題をするのが少ないのでは?とも言われています。そんな背景の元、もっと「前立腺がん」の知識を広め、関心を持ってほしいという思いから「口ひげキャンペーン」の運動が2007年より始められました。
私の周りでも、11月になると職場のお得さんや、義理の息子がこのキャンペーンのために口ひげを生やしたりしています。(彼の彼女からは大不評のようですが)
皆さんもこの機会に「前立腺がん」に関する知識を深めてみてはいかがでしょうか?
ピンクリボン運動同様、寄付の受付もしているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=9X8_DsJ4RDk
http://mustaschkampen.eu/
# Lisa Indra
Staff dragonmamma November 19, 2017
前立腺癌と聞いて、出てきました。前立腺癌の手術を毎日のように執刀してます。
スウェーデンなど北欧や、アフリカンアメリカンなど、人種により前立腺癌の頻度は異なります。しかし、遺伝子だけでなく、生活習慣も癌発生に関係していることが分かっており、食生活が西欧化してきた日本でも年々増えています。家族に前立腺癌の方がいれば、リスクは高くなりますので、早め(40歳頃から)のPSA(前立腺癌特異抗原)の検査開始をお勧めします。手術が可能であれば、手術をお勧めしますが、そうでなくても放射線治療、ホルモン治療、化学療法と色々な治療法がある上に、現在日進月歩の分野ですので、新しい治療も登場してきています。
Lisa Indra November 22, 2017
かなり昔ですが、前立腺がんは進行が遅いことが多いので、治療をしてもちなくても寿命にはあまり関係がない場合も多く、「治療をせずに経過観察」する場合も多いと聞いたことがあります。
患者さんにとっては、その「(積極的な治療をせず)フォローアップ」というのが精神的にすごくつらいと。
もちろん、前立腺がんを発症する年齢や疾患のタイプによって経過は全く違ってくるんでしょうけど、実際のところはどうなんでしょう?
Staff dragonmamma November 22, 2017
前立腺癌は老化現象の一つとも捉えられており、例えば、70歳以上の男性であれば半数以上は前立腺癌を持っていると考えられています。その中で、非常におとなしいタイプについては治療をしなくても、前立腺癌が死因となることはありません。よって、生検でわずかなおとなしい癌が検出され、PSAもそれほど高くない場合は、フォローアップになることがあります。PSAを見ながら、時々生検をしなければならないですし、中には、生検で発見されなかっただけで、より悪性度の高い癌がある場合もあります。日本では、まず、癌の診断がついているのにフォローアップするということは、患者さんの精神的に難しかったですが、スウェーデンでは結構あります。個人的には、悪性度が低いという保証はないので、好きではありません(それで痛い思いをしたこともあり)。悪性度が高い癌は進行も早いですし、転移も早いです。PSAは正常であるものも中にはありますが、やはり早期発見にはPSAが今のところは一番だと思います。