スウェーデンの医療現場では、移民は勿論の事、難民や居住権を申請中の難民が患者さんとしてくることがしばしばあります。中には、明らかに違法なやり方で居住権を申請している難民もいますが、スウェーデンでは基本的に医療者が例えば、移民局に通報することはありません。各部門が所有しているデータベースを使いまわしてはいけないという決まりもあります。ですので、居住権を持たない難民(通常のパーソナルナンバーを持っていません)であっても、スウェーデン人と同じように医療を供給するというのが医療者のスタンスです。
この記事では、スウェーデン医師会は難民の追放や居住権却下に加担すべきではないと表明したことについて書かれています。
どんな時でも、患者のため、患者のベストになる医療行為を行うべきであり、行政の役に立つような、居住権却下の際の強制的投薬や、追放の際の強制措置に貢献することは、医師としての倫理に反するものであるとしています。
確かに、経験上も、全ての人に平等な太っ腹なスウェーデンの医療というイメージを持っています。移民難民の医療には、コストがかかるだけでなく、自国民に対する医療行為が遅延するという影響もあり、今後、同じ方針で医療崩壊せずにやって行けるのかどうか、興味があるところです。
#Admin
Lisa Indra April 8, 2017
しばらく前にULP(utanför landsting patient-kanslit だったかな?)のスタッフが職場に説明しに来てくれました。県外からの患者さん、スウェーデン人で国外に住み、今は個人番号がない患者さん、そしてReservnummerを持つ難民の人たちの受診についてでした。
色々な規則が山ほどあり、Remiss(依頼書?)を受けて検査や外来受診をそのまま予約していいのか、どうか。
難民の方の医療は、基本的にはこれをしないと命に関わる治療・診察っていう事みたいですが、それをどうやって判断するのか?例えば、胃潰瘍で入院していた患者さんが退院した後、コントロールのための内視鏡って命に関わる検査なの?と。もちろん出血が疑われる場合は当然その対象ですし、Sceond-lookはそれがないかどうかチェックするわけで…。
Remissをチェックしたドクターが、この検査はするべき!と判断すれば、予約を入れることになります。(多分、どの医師もスウェーデンの住人と同じように依頼書を判断していると思います。難民だからと言って判断を変えていることない!という倫理的な背景があると思います)
それと、以前勤めていたがん専門の外来で、難民の患者sンの受け持ちでした。転移性のがんで、空港から直接救急外来を受診したと。すでに母国でも治療を色々受けていたようで、新薬の対象のケース。
本音を言うと、受け持っていて複雑な気持ちでした。確かに、治療しなければ命に関わるんだし、そこの国の政治状況とか知らないから何とも言えないけれど、治療だけのための難民?っていう思いが拭えませんでした。
Staff Dragonmamma April 8, 2017
私も似たような経験はいくつもあります。
最近では、本国で受けた暴行により慢性疼痛を訴えて受診した方。診察上は問題なく、疼痛だけが問題。まだ、居住許可が出ていないので勿論リザーブナンバーですし、言葉が出来ないので通訳付き(当然、自己負担なし)。検査を予約したのですが、2回も無断で検査にこなかったため、依頼票が戻ってきました。検査の部署でも、その人のために時間を取っている(こないのであれば他の方の検査ができる)のに、コストも他の方に回るはずの時間も失い、モヤモヤしてしまいました。