医師は難民の患者にどう対応すべきか

スウェーデンの医療現場では、移民は勿論の事、難民や居住権を申請中の難民が患者さんとしてくることがしばしばあります。中には、明らかに違法なやり方で居住権を申請している難民もいますが、スウェーデンでは基本的に医療者が例えば、移民局に通報することはありません。各部門が所有しているデータベースを使いまわしてはいけないという決まりもあります。ですので、居住権を持たない難民(通常のパーソナルナンバーを持っていません)であっても、スウェーデン人と同じように医療を供給するというのが医療者のスタンスです。

この記事では、スウェーデン医師会は難民の追放や居住権却下に加担すべきではないと表明したことについて書かれています。

どんな時でも、患者のため、患者のベストになる医療行為を行うべきであり、行政の役に立つような、居住権却下の際の強制的投薬や、追放の際の強制措置に貢献することは、医師としての倫理に反するものであるとしています。

確かに、経験上も、全ての人に平等な太っ腹なスウェーデンの医療というイメージを持っています。移民難民の医療には、コストがかかるだけでなく、自国民に対する医療行為が遅延するという影響もあり、今後、同じ方針で医療崩壊せずにやって行けるのかどうか、興味があるところです。

#Admin

 


よくある症状:どんな時に診療所(病院)に行ったらいいの?

よくある症状:どんな時に診療所(病院)に行ったらいいの?

Vanliga symtom – när ska jag söka vård?

スウェーデンでは風邪のような軽い症状の場合、医師に会うことは滅多にありません。インフルエンザでも、安静にして対処療法(解熱鎮痛剤や、水分補給など)をしていれば治癒するという考え方から、インフルエンザの検査は普通しませんし、インフルエンザと診断されてもタミフルを処方されることはまずありません。タミフルは有熱期間を短縮するくらいの効果しかないことがわかっていますし、医師に受診をする前にEgenvårdと言って自分で対処できるようなことをするのが、一般的だからです。

日本とは全く違うシステムなので、こちらに引っ越してきた方にはなかなか慣れない感覚だと思います。

 いつまでも症状が続いていて、心配なんだけれど。

一体どんな症状ならば自宅安静で大丈夫で、どんな症状なら診察を受けたほうがいいの?
自宅で様子を見ている間に、悪くなっちゃったりしないの?

心配だから、診療所(病院)に行きたいのに、全然予約が取れない!

と、思う方も多くいらっしゃるかと思います。

Vårdguidenの中に、こんなページを見つけました。

Vanliga symtom – när ska jag söka vård?

よくある症状:どんな時に診療所(病院)に行ったらいいの?

スウェーデン語が出来ないと難しいかもしれませんが、ちょっと試しに覗いてみてください。

・発熱

・のどの痛み

・咳

・鼻水・鼻づまり

・尿路系の症状(女性)

・尿路系の症状(男性)

・耳の症状

の7つのよくある症状で、何処に行くのが一番いいのか?という事が分かる仕組みになっています。

最初の項目は年齢です。1-18才、18歳以上のふたつの選択肢から選びます。

2つ目の項目は症状を選びます。(一般的な症状である上記の7つのみ)

最後の項目は症状の状態を選びます。

そうすると、市販薬の内服で様子を見るべきなのか?近医に診てもらうべきなのか?それとも救急外来に行くべきなのか?という事が判断されます。それと同時に、これらの質問から予測される病名が出てきて、その病名のリンクへ飛ぶことが出来るようになっています。

このページは1歳以下のお子さんや、状態が非常に悪い人には適当ではないと最初に注意書きがあります。また、これはよくある7つの症状以外は判別が出来ないので、他の症状の場合は電話相談1177に連絡をするようにとのことです。

ここで「Vårdcentralen(VC、診療所)へ受診をしたほうが良い。」とされれば、まず予約が取れないことはないと思うのですが、もし取れなければ「Vårdguidenでチェックをしたら、VCに連絡するようにという事でした。」と、言ってみるのもいいかもしれません。

英語やスウェーデン語が出来ないと、なかなか電話で医療相談をしたり、電話でVCの予約をするのは大変かと思います。しかし、Vårdguidenに個人でログインをすれば、VCの予約もできますし、予約なし(Dropp in)で受け付けてくれる時間があるVCもあります。

Lycka till!

#Lisa Indra 


アンチ抗生剤濫用キャンペーン

スウェーデンでは、日本のように抗生剤の濫用が行われていません。それでも、現状の使用方法は不要な処方が多いと言う批判が常にあり、さらに抗生剤の使用を減らす努力がされています。

このビデオは、国境なき医師団のキャンペーンビデオです。和訳をつけておきましたのでご覧になってください。

 

En skräckhistoria – från verkligheten

Du dör inte av ett litet sår i Sverige idag. Men nu är världen på väg att färdas 70 år tillbaka i tiden.Vi vill berätta en skräckhistoria – från verkliga livet. Häng med!

Opslået af Läkare Utan Gränser/ Médecins sans Frontières (MSF Sweden) på 26. marts 2017

これくらいの傷では、今、死にません。

しかし、長い目で見ると、感染した小さな傷が命に関わることがあります。

世界は70年前に戻ろうとしています。

現実の怖い話をしたいと思います。

いいですか。

(Karin Nordstrand、ノルウェー国境なき医師団代表)

今日、多くの肺炎の患者さんが死亡することがないのは

モダンな病院のためでも、新しい技術や投資のためでもありません。

最も大きな理由は、抗生剤です。

多くの人が敗血症で亡くなりました。

また肺炎でも。1941年にペニシリンが発見される前は。

感染した創によっても亡くなりました。

しかし、今、細菌は人間に勝とうとしています。

我々が新しい治療を開発するよりも早いスピードで、細菌は耐性となります。

そして、それは我々自身の過ちから生じたものなのです。

毎年、何百万トンもの抗生剤が処方されます。

抗生剤を必要としない人たちに。

そして、さらに多くの抗生剤が、鶏や豚といった動物に投与されます。

彼らが病気であるからではなく、

より早く太らせ、成長させるために。

しかし、怖い話はここで終わりません。

製薬業界は今、

新しい抗生剤の研究をすることをやめました。

何が起こるのでしょうか?

これらの研究は、業界にとって非常に大事なはずです。

人類の健康にプライオリテイーをおく研究こそが。

しかし、そうではないのです。

もし、我々が効果的な抗生剤を必要なのであれば、

抗生剤の過度の使用を止めなければいけません。

そうすれば、業界に入るお金は減ります。

だから、彼らは投資をするのをやめました。

経済学者はそれを、「市場の失敗」と呼びます。

私はそれを「愚行」と呼びます。

効果的な抗生剤のない世界は非常に恐ろしいものです。

私たちにはそれを阻止する責任があるのです。


准看護師制度の日瑞比較

日本とスウェーデンにおける准看護師制度の始まり

 日本では戦後1948年に看護制度の改革が行われ、新しい法律が制定されると共に、看護師の中に看護職AとBが設立された。その後1951年の改革で、看護職A は正看護師に、Bは准看護師に改定された。准看護師制度が設立された背景には、予想された正看護師の不足が挙げられる。戦前においては、看護師は単に医師のアシスタントとみなされていたが、戦後はプロフェッショナルな職業のステータスを得た。その反面、高い教育が求められたため、看護師の不足は十分予想されうるものであった。そのために、義務教育を終えた後2年間の教育を受けてなることができる、准看護師制度が設立された。

 一方スウェーデンではすでに1930年代に、女性を看護職にリクルートするのが難しい状況であった。女性たちは別の職業を求めたからである。1940年代にスウェーデンの医療制度が大幅に拡大されると、看護職不足の深刻な危機が訪れた。病床数は1920年に11,000床であったのが、1946年には24,000床にまで拡大したが、看護職につく女性の不足のために、それ以上の拡大は不可能な状態であった。解決策として、それまで病院で働くことを義務付けられていた看護学生の病院勤務をなくすことによって、看護教育を半年短縮すること、そしてそれまでの看護補助者(sjukvårdbiträde)に短期間の訓練を与えて、准看護師(undersköterska)に格上げするという方策が取られた。最初の准看護師は1947年に登場した。

日本とスウェーデンの准看護師教育

 日本で准看護師になるためには、主に2つの教育制度がある。1つは高校で衛生看護科に入ること。もう1つは中学校卒業後に、2年間の准看護師養成所に入ることである。どちらも修了後に都道府県の資格試験を受け、合格者には准看護師の資格が与えられる。資格は都道府県知事名で与えられるが、資格を取得した以外の都道府県で働くことは可能である。2013年の時点で、日本全国に236の准看護師養成機関があり、うち17が高等学校で、それ以外は専修学校や各種学校のカテゴリーに入っている。准看護師教育への入学条件は、9年間の義務教育を終えていることであるが、大学卒業者や社会人経験者も多く出願している。

 スウェーデンの准看護師教育制度も日本と似通っており、高校で看護介護プログラム(Vård- och omsorg)を3年間取るか、成人教育の教育機関で看護プログラム(omvårdnadsprogrammet)を取る方法がある。後者の学習期間はおよそ1年半である。日本の場合と異なり、成人教育の機関で准看護師の勉強をした者に対して、国や地方自治体が認める正式な資格証はない。

医療の学術化(academization)の中の准看護師の位置づけ

 日本においてもスウェーデンにおいても、准看護師の職場は病院、クリニック、介護施設、患者の家など多様である。スウェーデンにおいては、病院における正看護師と准看護師の仕事内容には比較的明確な一線が引かれており、例えば基本的に病院において准看護師は薬剤を扱わないことになっている。日本においては、准看護師の実際の仕事は正看護師の仕事と大きく異ならない場合が多いが、基本的な違いは、准看護師は医師、歯科医、看護師の指導の元に仕事をするということが挙げられる。医療技術の高度化に伴い、病院における看護職には高度に科学的で学術的な能力が求められる。そこで准看護師と正看護師の仕事内容が大きく異ならないという点に関して、1つ大きな問題点が指摘されており、日本看護協会と日本医師会の歴史的な対立を招いてきた。

 日本看護協会は、准看護師教育の質は近代化された病院での勤務にふさわしい質のものではないと 指摘し、准看護師制度を廃止して正看護師制度に一本化することを主張してきた。しかしながら、准看護師養成機関には、各地域の医師会によって運営されているものが多く、准看護師学校の学生は卒業と同時に、学校の運営母体である医師会が経営している病院やクリニックに勤務する事例が多い。またお礼奉公をさせられるような例も挙げられている。日本看護協会は、医師会が准看護師を安く雇用してきていることを批判し続けている。2004年には、10年以上准看護師として勤務した者が希望すれば、2年間の通信教育を経て正看護師に格上げされるという制度ができ、日本看護協会はこの制度を利用しようとする准看護師の支援をしており、2009年からは奨学金も設立された。

 一方医師会は、正看護師、准看護師、看護補助者の3層から成り立つ医療制度の重要性を主張している。医療機関の中には、小規模な地域のクリニック、大病院、高度で近代的な設備を整えた大学病院などがあり、それぞれの医療機関では異なるタイプの看護スタッフが必要とされており、准看護師は小規模な地域の病院やクリニックで、重要な役割を果たしていると主張している。加えて、高齢化社会の中で准看護師へのニーズは高まっていることも主張している。しかしながら、全体的に正看護師の数が順調に増加しているのに対し、准看護師の数は減少しつつある。

 スウェーデンにおいても、正看護師と医師の数が順調に増加しているのに比べ、医療機関における准看護師の数は減少しつつある。この背景には3つの要素があり、第一にエーデル改革によって医療と介護が分けられ、医療機関では介護の面が縮小し、医療の面が強まったこと。第二に新しい医療方法によって患者の入院日数が減り、病院における介護の必要性が減ったこと。第三に予算削減の中で、職業教育を受けた者よりもアカデミックな教育を受けた者の雇用が優先されるようになったことが挙げられる。

今後の准看護師

 日本においてもスウェーデンにおいても、医療機関における准看護師のニーズと雇用は減少しつつあるとはいえ、完全になくなることはないと予想される。日本においては、特に小規模の地域の病院やクリニックでは、准看護師は重要な役割を果たしている。スウェーデンにおいても、高度に専門化された大学病院でも、入院患者の介護をする准看護師は必要とされている。

 一方で、医療機関以外の介護や福祉機関で働く准看護師の数は、順調に増加している。日本においては、病院勤務の准看護師の数は2004年から2012年の間に40,794人減少したが、長期介護施設勤務の准看護師は、同じ時期に18,229人増加している。スウェーデンにおいても、自治体に雇用されている准看護師の数は、2010年から2013年の間に7,572人増加している。

 このように、患者に近く寄り添った介護の分野で、准看護師のニーズは絶え間なくあると同時に、高齢化社会において高齢者の介護における准看護師の役割はますます重要になると思われる。
#Birdwatcher


1177 Vårdguiden (健康・医療に関しての情報サイト)

1177 Vårdguiden はスウェーデンの 健康・医療に関しての情報サイトです。 (1177.se)

 

ここでは、医療相談、情報のほか、ネットを通じて医療機関とコンタクトを取ることが出来ます。また電話での医療相談1177は24時間体制で対応をしています。

スウェーデン語が出来ない日本人の方には少し難しいかもしれませんが、是非一度覗いてみてください。電話で話をするのは苦手だけれど、時間をかけて書いたり読んだりするのならば、なんとかできるかも…という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

個人でログインをすれば、医療機関の予約を取ったり、処方箋の再発行などもすることが出来ます。

スウェーデン語のページの方が充実していますが、英語のページもあるのでそちらなら読めるという方も多いのでは?

 

例えば、Feber(発熱)というところに開いてみると、

Symtom(症状)

Vad kan jag göra själv?(自分で出来る事)

När ska jag söka vård?(どういう時に医療機関に連絡を取ったらいいの?)

Undersökning och behandling(検査と治療)

Vad beror det på?(原因は?)

というように書かれています。

スウェーデンでは、発熱したからと言ってすぐに病院を受診することは少なく、まずは自分で何ができるか(Egenvård)?が出発点です。ご存知のように、なかなか医師に会えませんので(逆に言えば、医師に会わなくても対処ができる程度という事でもあるのですが、日本の医療システムに慣れている方には納得して頂くのが難しいと思います。)。

私自身、医療者として20年以上働いていますが、自分が働いていない分野に関しては素人同然の知識です。ですから、かなりこのサイトのお世話になっています。ここの医療情報は専門家が監修していて、いつ誰が監修したかという事がページの下に記載されています。多くのページが比較的頻繁にアップデートされています。

#Lisa Indra