日本人の看護師さんに
スウェーデンの病棟には”the white file”と呼ばれる物を看護師が保管していると聞きました。患者さんに、今後の希望などを書いてもらう用紙だと聞きましたが、そのファイルもとても興味があります。
というメールを頂きました。
私自身はここ数年外来勤務で、The white fileの存在は知りませんでした。がんの入院病棟やASIH(在宅高度医療)で働いている友人たちに聞いてみたところ、「それってVita Arkivetのことかな?」と。
このVita Arkivetはこんな感じで始まっています。
Det kan kännas konstigt att tänka på sin egen död och begravning. Men att ägna en stund åt just det är en bra idé. Dels av omtanke så att dina anhöriga en dag slipper gissa vad du skulle ha önskat. Dels kanske det finns saker som faktiskt är viktiga för dig. Det kan du få sagt i Vita arkivet. Resten kan du lämna åt dina närmaste att bestämma om. (自分の死や葬儀を考えるのは不思議な感じがするかもしれません。でも、ちょっとの時間そんなことを考えるのも悪くないと思いませんか?残される家族のため。そしてあなた自身のためにも)
このVita Arkivetには、患者さんが自分の葬儀やお墓に関しての希望、経済的・法的な事で身内に伝えておきたい事などが書けるようになっています。ダウンロードしてプリントアウトすることも可能ですし、Web上に書き込みそのまま保存することも可能なようです。
宗教によって葬儀の時期は様々ですが、キリスト教のスウェーデン人の場合、死後4週間後に葬儀という事も珍しくありません。その間、家族は故人らしい葬儀を計画していきます。その時にVita Arkivetがあれば、故人の希望に沿った教会や棺、葬儀で流す音楽を計画していく事が可能です。
20年近く在宅緩和医療で働いている友人から「これは医療の一環ではないので、私から患者さん達にこのVita Arkivetの記入を勧めたことはないな。ただ、医療職としてこのVita Arkivetの存在を知っていることはすごく重要だと思う。自分では勧めたことはないけれど、受け持っていた患者さんがVita Arkivetを書いていたのは知っているよ」という返事をもらいました。
看護師である彼らは勧めていないかもしれませんが、スウェーデンではKurator(日本のソーシャルワーカーに近い職種?)というスタッフが死後の様々な事務的なことに関して相談に乗ったりもするので、そのKuratorからVita Arkivetの情報が入った可能性もあるかもしれません。
http://fonusost.se/wp-content/uploads/2015/10/va_blankett_2013_31maj.pdf