スウェーデンの作業療法士である著者が約20年前に出版した本ですが、現在形でも十分に通じるスウェーデンの医療福祉の現場が実例を交えてとてもわかり易くしかも本音で描かれています。
かつて福祉先進国と呼ばれたスウェーデンも世界にもれず(?)不況の波を受けて、あちこちの地域や病院で財政立て直しのための頻繁な組織改革が繰り返されています。それに対する著者とその同僚たちの不満&ウンザリ感や右往左往している様子には私にも近年覚えがあったのでニヤリとしてしまいました。また日本からの視察団がよく聞く質問に著者が感じる逆カルチャーショックやその背景、両国の医療福祉現場の長所および短所(というか問題意識)、そして本書のいたるところで出てくるスウェーデンというお国柄について等々、普段私が職場で漠然と感じていることが上手く文章化されていたので、読んでいてスッキリというかもう感動の領域でした。 著者は小児専門の作業療法士ですが、書かれている内容はリハビリテーション且つハビリテーションそして医療福祉全体に通じる内容でもあり、急性期病棟で働く理学療法士としてもインスピレーションもらいました。 この国の医療福祉の仕組みや、作業療法士&理学療法士の働き方について興味がある人には本書をお勧めします。むしろ、病院&施設見学したいと言ってスウェーデンに来る人にはまず本書を読んでもらってから来てほしいというのが私の本音です。20年前に書かれた本だから時代遅れだと侮らずに、しっかり目を通して頂きたい一冊です。
# NONA